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哲学いろいろ

地中海の晩鐘(#8)

8.

四月二十八日
最後のメッシナも晩鐘に応え
六千の血の地中海に揺らめく
わが緑の島は

月の司祭の下に駆け込み
蹴られ
アラゴンに頼み
トラパーニに艦隊を迎えた八月三十日


ナーポリに息をつく
宿敵シャルルの陣営が
ローマの月とその衛星都市(ゲルフ)に護られれば
ノルマンの遠縁アラゴン
太陽につく新興都市(ギベリン)に護られて
晩鐘の音は鳴り響き

シチリアの王国は
メッシナの峡を隔てて立ち別れ
島は
祖地イベリアに帰り笏を持つ
ジャック二世の
〔《わが島を護る》という〕
月の陣営との協約を
これを蹴り
ジャック二世の弟フレデリック三世を
みづから戴き
フレデリックはわが島を保持し
一三〇二年協約を持って〕
長い
尊い
悲壮な
熾烈な
劇の
幕を閉じる


神々の眠る緑の島に
長く領土を譲らず
しかも遂げられずに終わった
月の王国は――その季節は――
やがて来る《再生》と
《改革》と《大航海》とともに
光を薄めて


遅れてやって来た美女エウロペ
新しく
心は古き良き神々の時代へと
目は海原のかなた未知の世界へと向かう


明晰の緑の十字路も
自由の楽園のこのナシオナリスムの
勃発とともに
エウロペの南の果ての辺境へと
化してゆく


〔時を降って
一八六〇年
ガリバルディとともに再び起って
夢を追う異郷から来た君臨者を退ける時
島が就いたイタリアの王
ヴィットリオ・エマヌエッレ二世は
あのマンフレートの妻
ベアトリーチェの実家
サヴォアの家の
末裔であった〕