caguirofie

哲学いろいろ

#10

もくじ→2007-04-16 - caguirofie070416

第三章a オホクニヌシのミコトの物語

ここでは前章に触れたように オホクニヌシの迫害による死からの再生の過程については すでに取り上げません。かれオホクニヌシが そのように 前史から後史へ回転したのち――スサノヲ共同体を受け継いで さらに新しい段階の国づくりに励んだもののようである そこへ―― アマテラスの世界からの接触があった。この歴史を もうひとつの基軸として 捉えなければならない。
 アマテラスからの接触とは ここで単純に 服属の要求であり 侵略の動きであります。知られているようにこの結果 オホクニヌシ共同体は かれらに《国譲り》をすることになる。この歴史を 一つの基軸として見ることができます。
 すなわち――ただちに結論しようと思えば―― 先のスサノヲの時代に かれとアマテラスの世界との関係は 次のようであった。一方で 主宰者アマテラスは その面子を保とうとしてのように 最後まで 新しき人スサノヲに対しては取り合わなかった。他方で スサノヲの《悪しきわざ》が行き着くところまで行き着くと アマテラスの人びとは これを裁き スサノヲを追放した。そしてこのゆえに これら両面の関係の進展のゆえに この世の呪術世界が克服されたとわれわれは考えた。この追放の結果 スサノヲに復活がおとづれたから。そうして このことを経験的に つまり言いかえるとスサノヲとアマテラスとの社会関係的にも 証しすることになるというのが 上に取り上げなければならないと言った理由である。というのも あのアマテラスの側から――内容はともあれ――積極的な接触が ここで あったからである。無関心という愛の氷が 解け始めたか。
 〔疑いが克服されたというこの一つの歴史真実は――つまり 史実の比定・確定に重きを置くよりは 人間の真実は何かという観点から―― 《疑わしきは 罰せず》の淵源であるかとも考えられます。〕 
 ともかく 最後まで取り合わなかったアマテラスから 積極的な接触があった。(スサノヲからオホクニヌシへの世代交代と同じように アマテラスの側にも それがあったと考えられる。そのような史実問題も ここでは 二次的である。)アマテラスの人びとは もともと 自分たちがスサノヲを追放したのであるから つまりかれを裁く側にあったのだから 服属を要求することは とうぜんのことだと考えた。しかもまず このような関係の進展が スサノヲの復活を証しすると考えられる。
 そこで今度は スサノヲの復活の歴史を受け継いだオホクニヌシが むしろアマテラスの側の復活の歴史――前史から後史への回転――にどう かかわったかが この第二段階の歴史的な基軸となるでしょう。アマテラスがどう復活するか これが ここでの問題なのです。この意味で オホクニヌシのミコトの物語が スサノヲの物語につづくことになります。
(つづく→2007-04-26 - caguirofie070426)