イの折れ(2)
(2015-03-27 - caguirofieよりのつづき)
§ 3 ここでも道草
(16) では 向か・向きの命令法(命令形)なる 向け はどのようにして出来たか?
○ 命令法の成り立ち
向け muke < muki-a :向き(概念法=連用形)-ア(これは 不定法である)
(17) なぜなら 不定法――向くという概念の語をまだ気分を決めずに言い出したかたち――は 気分を保留しているぶんだけ 主観がさだまらず残っている。向か- と言い出したときにはそのあとに -ぬ(打ち消し法)でも −む(意志法/推量法)でも ‐ば(未定条件法)でも いづれでもつけられる。この宙ぶらりん状態は 向か- muka- の母音アのしわざだと考えられる。
つまり 語尾の母音−アは まだ主観を保ち留めていますよという気分である。だから 概念法のかたち muki 向き に−アをつけ添えるならその主観をけっきょく言わば指定し指示するかたちとなる。ナラハシとしてそう成った。 muki-a 向き−ア > muke 向け は 要請し要求する意味が生じた。これが 命令としての気分であり命令法である。
向き−ア muki-a を 向きーや mukiiya と言っても命令形として通じるごとく。
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以下は工事中です。
あた あたり あて
あら あらぬ あれ生 あり有り
あら荒 あれ荒れ
あら粗 あれ離れ
なお 橋本進吉の古代日本語における甲類・乙類の話ですが これについても まだ イの法則がからんでいるのではないかとは思っています。
わたしは 独自の行き方で / オ・ウ /
önö 己(おの・うぬ)
önö-re 己(おの)-れ: レは ワ-レ(我れ)やナ-レ(汝れ)のレ。つまり親愛称。
önö-höre 自(うぬ)-惚れ
kö 木(こ・く)
kö-suwe 木(こ)-末=梢
kö-da-mönö 木(く)-だ(=な=の)-物=果物 cf. 毛だ物=獣
kö-i (イの折れ)> kï > ki 木(き)
mö 身(も・む)
mö-nuke 身(も)-抜け=蛻
mö-kuro 身(む)-くろ(殻)=骸・躯
mö-i (イの折れ) > mï > mi 身(み)
warö-si わろ−し・わる−し
karö-si かろ‐し・かる‐し