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第二部 踏み出しの地点
§11 山口昌男『知の遠近法 (岩波現代文庫)』 c
§11−2
山口昌男が語る。
天皇制における《中心》がどのような構造の上に成立しているかということは これまでそれほど論じられているわけではない。政治的世界という場ではあまりにも当たり前のことと思われているからである。しかし 象徴的次元での《中心》性は 法制的な次元で説明がつくとは限らない。
(『知の遠近法 (岩波現代文庫)』 第十三章 天皇制の象徴的空間 〈天皇制と歌舞伎〉のくだり)
このとき 現代社会を歴史的に明らかにしようとする場合には これまでも見てきたように その歴史の研究は 必要・有益であるのだが たとえばいま現在の象徴天皇の制度を 論じようというのなら もうすべて 将来へ向けての 《法制的な》問題として 民主主義的で自由な話し合いをすすめていくのが 基本であって そのほかに議論することはないのである。《法制的な次元で説明がつくとは限らない》というのは 現代までの歴史的なつながり(または われわれ《臣民》との切り結び)を理解しようとするときにだけ 問題となるのである。