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哲学いろいろ

#40

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§10 《パパラギ―はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集

パパラギ―はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集

パパラギ―はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集

(1) パパラギは いつもからだをきちんと包むように心がけている。あるひとりのとても偉くかしこい白い人が 《からだは罪深い肉である。首から上にあるものだけが本当の人間である》と私に言った。
・・・
しかしながら 肉は罪 アイツウ(悪霊・悪魔)からの贈り物――これより愚かな考えがあるだろうか わが兄弟たちよ。


(2)かしこい兄弟たちよ・・・おまえたちも あの宣教師の言葉をはっきりと覚えているだろう。《神は愛である。ひとりの真の救世主(キリスト)が常に愛そのものであるという善をなしたもうた。だからこそ白人の崇拝は 大いなる神にのみ向けられる》と。
宣教師は私たちに嘘をつき 私たちをあざむいた。パパラギが宣教師を買収し 大いなる心の言葉を借りて私たちをだましたのだ。丸い金属と重たい紙 彼らがお金と呼んでいる これが白人たちの本当の神さまだ。


(3)それからパパラギは 私たちのことについて こうも言っている。

きみたちは貧しくて不幸だ。きみたちには 多くの援助と同情が必要だ。きみたちは何も物を持っていないではないか。

たくさんの島と愛する兄弟たちよ。物とは何か。おまえたちに告げよう。――たとえばヤシの実はひとつの物である。ハエたたきも 腕輪も食事の皿も 髪飾りも すべてこれらは物である。
しかし 物にはふたつの種類がある。ひとつはヤシの実や 貝や バナナのように 私たち人間が何の苦労も労働もせず あの大いなる心が造り出す物である。いまひとつは 指環や 食事の皿や ハエたたきのように たくさんの人間が苦労し 労働をして作り出す物である。・・・


(4)パパラギは本当に空を打ち破ってきた人 神の使者のように見える。なぜなら彼は 自分の喜びのために天と地を支配する。彼は魚となり 鳥となり 虫となり そして同時に馬となる。大地に穴をあけ 大地をつらぬき通す。もっとも広い真水の河の下をも通りぬけ 山も岩もすりぬける。足に鉄の車輪をつけ もっとも速い馬よりも速く突き進む。彼は空に昇る。飛ぶことができるのだ。私は彼がカモメのように空を飛ぶのを見たことがある。彼は巨大なカヌーをもって海を走る。大洋の下を走るカヌーを持ってりう。彼は雲から雲へカヌーを走らせる。


(5)どのパパラギも 職業というものを持っている。職業というのが何か 説明するのはむずかしい。喜び勇んでしなくちゃいけないが たいていちっともやりたくない何か それが職業というもののようである。
職業を持つとは いつでもひとつのこと 同じことをくり返すという意味である。・・たとえば私が自分で小屋を作るとか むしろを編むほか 何にも仕事をしないとする。――すると私の職業は小屋作り あるいは むしろ編みということになる。


(6)ひまなんて とてもあったためしがないと言い張るパパラギたちがいる。この連中は まるでアイツウにとり憑かれた人のように 首のないまま走り回り 行く先々どこにでも 災いと大混乱を起こす。


(7)パパラギは一種特別な そして最高にこんがらがった考え方をする。彼はいつでも どうしたらあるものが自分の役に立つか そしてどうしたらそれが自分の権利になるかと考える。それもたいてい ただひとりのためであり みんなのためではない。このひとりというのは 自分自身のことである。
パパラギ―はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集

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