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哲学いろいろ

#36

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§9 住谷一彦『日本の意識―思想における人間の研究 (同時代ライブラリー)』 a

§9−1

ところで 意識するとせざるとに拘らず 両ミンゾク学(* すなわち 民俗学および民族学つまり文化人類学)にあっては 研究者は次の三つの論理と取りくまなければならない。
(一) 研究者側の論理
(二) 土着文化に内在する論理 そして
(三) この両者を連結させる論理
である。このうち 特に厄介なのは 組織的な形では滅多に呈示されない第二の論理を いかにして探り出すかということであった。
それにはさまざまなアプローチの仕方を考えねばならないが ここに唯一つだけ申しのべたいのは 組織的な返答を求めてはいけないということである。むしろ 日常生活および儀礼生活の両面を入念に観察し その行動様式から探究の手がかりをつかむのが正道であろうが それには相当長期にわたり滞在を要する。そこで筆者は いささか趣向をかえて 土着文化を身につけながら 発表能力と持久力に富む神人(カミンチュ)に思いのまま書き綴らせ これを刊行することを企画中だったのであるが これが実現せぬうちに宮城女史の校正を拝読することになった。・・・
(馬渕東一:〈宮城文《八重山生活誌八重山生活誌 (1972年)》の刊行に寄せて〉馬淵東一著作集 (第3巻)所収)

八重山生活誌 (1972年)

八重山生活誌 (1972年)

馬淵東一著作集 (第3巻)

馬淵東一著作集 (第3巻)

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