caguirofie

哲学いろいろ

#9

――源氏物語に寄せて または 観念の資本について――
もくじ→2006-07-08 - caguirofie060708

章一 《光源氏‐空蝉》なる対関係――ナルキッサ空蝉批判――

いま 物語の世界から 目を 市民社会学じたいの領域へ 転じてみよう。空蝉への理解に入る前に そのナルキッサ説を仮定した上でだが 原則的なナルシシスム論をおさえておきたい。
まず ナルシス(ナルキッソス)を論じたのは われわれにとってほかならぬポール・ヴァレリであった。第一に ヴァレリは その《ナルシス語る Naricisse parle. 》と題した五十八行の中篇詩を そのエピグラフの語るとおり 《ナルキッサの愛を鎮めるために(鈴木信太郎訳) Naricissae placandis manibus / または ナルキッサの手によって慰められるべき〔ナルキッソス〕》を 詠んだ(1890-1920)。

続きを読む