caguirofie

哲学いろいろ

#5

――源氏物語に寄せて――
もくじ→2006-07-08 - caguirofie060708

序・補 対関係としての光源氏類型 (5)

――市民社会学の基軸概念として――

源氏は その対関係の場にあって その相手の意向に逆らってでも あるいは それを見守る人びとやそれに立ち会う大方の人たちの期待を裏切ってでも その場の女性に対して やさしい言葉をかけることや その女性の心を包むような語りかけを なさなかった。どうしても できなかった。
(その意味で 《寅さん》ではなかった。)

この点は この小論全体の課題ともなる論点であるが さしづめ 問題の箇所・帚木冒頭の部分に限って 論じておくべきである。
まず 以上のような解釈またその視点に立って この一節全体を いま任意に訳出してみたい。

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