caguirofie

哲学いろいろ

#15

――ボエティウスの時代――
もくじ→2006-02-26 - caguirofie060226

青春

douze

そこは 天とも地とも区別のつかないところである。
あたりは――幽かなひかりに照らされているような いないような――明とも暗とも見分け難い世界。死んだような靄のなかから いつしか轟音とともに 白い蒸気が滝のようにながれ落ちていた。《時間(ホーライ)》であった。
やがてテオドリックは混沌の女神(カオス)とともに 天上に一閃のひかりをみとめ 夜と昼とが分かれるところを 流れるものが流れ着ききって 山なみと海原とがそれぞれ明確にすがたをあらわすところを見る。
そしてかれは みづからの心のなかに はげしく流れ落ちる《生愛(エロス)》の滝を見た。

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