caguirofie

哲学いろいろ

#31

もくじ→2005-12-23 - caguirofie051223

§40(重商主義:幸福からの跳躍)

そのときわれわれは 上流の人びとの邸宅と家計のなかを紙背している快適性の美しさに 魅惑されるのであり そして いかにすべてのものが かれらの安楽の促進に かれらの欠乏の阻止に かれらの欲望の充足に かれらのもっともつまらぬ欲求を楽しませ慰めるのに 適合させられているかということに 感嘆するのである。
もしわれわれが こられすべてのものが提供しうる真実の満足を それ自体で それを促進するのに適合させられた配置の美しさとはべつに 考察するならば それはつねに 最高度に軽蔑すべく つまらぬものと 見えるであろう。だがわれわれは めったにそれを この抽象的で哲学的な見方では 見ないのである。われわれは自然にそれを われわれの想像のなかで それを生み出す手段である組織 機構または管理の 秩序および規則的で調和的な運動と 混同する。この複合的な見方で考察されたばあいには 富と地位の快楽は なにか偉大で美しく高貴なもの それの達成は われわれが それにあのように投じがちな 苦労と懸念のすべてに十分にあたいするものとして 想像力に強い印象をあたえるのである。
そして 自然がこのようにしてわれわれをだますのは いいことである。人類の勤労をかきたて 継続的に運動させておくのは この欺瞞である。・・・
(4・1)

道徳感情論〈上〉 (岩波文庫)

道徳感情論〈上〉 (岩波文庫)

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